昨日(今日か?)のYahooのニュースで、佐賀県武雄市役所のホームページが8/1からほぼ完全にFacebookに移行する記事が掲載されていた。
http://www.facebook.com/takeocity
役所のページって、どこを見ても比較的同じ構成になっていて、「洗練された」というイメージはあまりありませんよね?
この理由には、予算と担当者のWEBに関する知識の問題もありますが、公共のページであることからWebアクセシビリティの問題があると考えられます。
公共機関のWebサイトは、商用利用や趣味のページではないことから閲覧者を限定することができません。
たとえば、特定のブラウザでしか閲覧できないようなものはもちろんダメです。最近ではIEなら7,8,9あたりのバージョンが主に使用されていると思います。また、FirefoxやOpera、Chrome、Safariといったブラウザもあります。これらのブラウザで著しくバージョンを限定せずにWebページを表示できなければなりません。
それから、身体的な弱者、たとえば視覚に健康的な異常が見られる方などでもページの内容を把握できるようにするための配慮がなされている必要があります。
たとえば、視覚異常者に対する対策としては、音声読み上げソフトに対応するために、HTMLを規則に従って構成(記述する順番に配慮)する必要があります。
他にも種々の制約があります。
全ての公共機関のページでこういったことが必ず守られているかどうかはわかりませんが、Webアクセシビリティを考慮した上で、洗練されたWebサイトを構築することは難しいといえそうです。
ちなみに、日本ではこのWebアクセシビリティはJISで規格化されています。2004年にJIS X8341-3として規格化され、2010年に改訂がなされたようです。
なお、このJIS企画はRecommend(推奨)であって必須ではありません。
武雄市のホームページはWebアクセシビリティをどの程度考えているのでしょうか?
それから、もう一つ気になることがあります。
武雄市は、Facebookと何らかの契約を交わしているのでしょうか?
Facebookは営利目的の一企業に過ぎません。Facebookを使用した行政サービス継続のが何らかの形で担保されている必要があります。
ないとは思いますが、「ある日突然、サービスが止まってしまった」ということにならないようにして欲しいものです。
個人的には、行政サービスの向上のために新しい技術を取り入れることは、結果に関係なく「何もしない」,「何も変わらない」よりはいいことだと思います。
ただ、今回のようにほぼ全ての機能をFacebookに移行してしまうのは少し拙速な感じは否めません。武雄市の知名度向上のための「話題性」という意味では効果的ですが、「SNS」という仕組みを使うことで、行政と住民の新しいコミュニケーションの手段を確立することが目的であるならば、従来のWebサイトを残しつつ、試験運用をした方がよいような気がします。
ただ、今回のこの試みは是非とも上手くいって欲しいと願っていますし、万が一失敗があったとしても、悪い点を少しずつ改善して後戻りはしないで欲しいと思います。